児童の登下校時刻を FeliCa で保護者へメール送信、「スマートタイムス スクール版」(japan.internet.com)より:
児童の登下校時のサポートする「スマートタイムス スクール版」の無料サービスを開始した、と発表した。
スマートタイムスは、児童が IC カードをリーダー機(パソリ)にタッチするだけで、リアルタイムに保護者へメール送信されるシステム。緊急連絡網や学校行事の連絡などを一斉にメールで送信することも可能。これにより、児童の登下校時や夜間の塾通いなどの「空白の時間」を狙った犯罪や事故を軽減することを目指す。
なぜにメール...
メールは、今のところ、個別に暗号化する以外に情報を隠すことができません。ブラウザなどを使って、https から始まる URI にアクセスする場合には、HTML 本体が送られる前に暗号化/復号のための鍵がやりとりされ、互いに送信先でしか復号できない状態になってから情報を送信します。この様な仕組みは、メールにはありません。
メールでこれをやるなら、まず、何らかの方法で互いの鍵を交換しなければなりません。しかし、メールは個人のパソコンに直接送られてくるものではありません。個人が契約しているサーバに送られ、そこから取り出されます。このため、送信時に、送信先で復号するための暗号化鍵をもらうのが困難です。
または、自分の公開鍵を公開しておき、相手に「ここから取って、それで暗号化して」と、お願いしなければなりません。
果たして、このシステムでは、それがなされているのでしょうか?
あるいは、携帯電話に、その携帯電話でのみ復号できる鍵を生成する機能が付いているでしょうか。
どちらも「NO」です。つまり、メールの内容は、「見たい」と思って、それなりの知識と環境を持っている人にとっては筒抜け、ハガキを送るよりも無防備な状態なのです。
いったい、こんなシステムが作られるなんて、「ウェブ通信は、データを複製してばらまくことで成り立っている」ことを意識していない開発者がどれくらいいるわけ?それで本当に、
もし、児童が Felica カードを紛失しても、個人情報が記録されていないため、個人情報の流出はない。また、専用サーバにて運用・管理を行っており、管理画面は不正防止機能が搭載されているため、登録されたパソコン以外で操作できない仕組みとなっている。
なんてことが言えるわけ?特に、不正防止って。。。学校で、身体測定の時に盗撮していた教師が、ごく最近捕まっていませんでしたっけ?そんな状況で、どうやって「不正防止」ができるのか。あるいは、どういう「不正」を考えているのか( ´-`)
あるいは、無線 LAN を使ったことがないとか?ああ、「無線」を知らないのか!!ラジオやテレビに混信してくる無線を知らないから、1対1で誰にも知られないなんて考えているの???あ、テレビやラジオか!!最近、視聴率下がっていますものね。ウェブ通信が、テレビやラジオよろしく、データをばらまいて、中継地点で補強してまたばらまいて、各家庭が建てているアンテナで拾っているって、考えないわけですね!!
で、使用者の方、どう思います?そういうところで、子どもが「学校を出た」という情報をもらいたいですか?テレビやラジオで「**さんちのお子さん、今学校を出ましたよ」って、言ってもらいたいですか?メールでそういう情報を受信するというのは、これとほぼ変わらないのですよ。ただ、あなた以外の受け取る人が、「盗聴者」と呼ばれるかどうかだけの違いです。法的に制限されていますが、技術的に難しいわけではありません。
何かが「知らされる」ことで「安心、安全」を確認できるようなシステムは、遅延によってたやすく「不安」を提供するシステムに変わってしまいます(→システムの完璧さ(過去のエントリ))。お知らせは、「危険」を知らせるものに絞る方がよくないでしょうか。昔から、「便りのないのはよい便り」と言われているではないですか。
投稿日時 : 2007年12月17日 22:42