RFID児童登下校管理システムのクオリティは安心安全ソリューションってレベルか from 高木浩光@自宅の日記 より:
メールが届くことで「安心」するシステム。子供の身に何かあったときはメールが届かないことで知らせるというシステム。よって、システムトラブルが起きると、「子供に何かあったのか」と保護者からの電話が殺到する。そういうシステムデザイン。
「どんなに「完璧」なシステムでも」というが、こんなのが完璧なシステムと思っていた人がいたのだろうか。インターネットメールで通知するなんて。そんなことははじめからわかっていたはずのこと。
高木氏がネタにされた、元のブログの記者は、「完璧」というのを、どういう意味で用いられたのでしょうね。
今でこそ、特に携帯電話から送るメールは、送信とほぼ同時に受信されます。これは、一つは同じ電話会社であれば、サーバが同一であることが原因でしょう。また、違う電話会社であっても、ある程度トラフィックがありますから、どの経路が最短か、キャッシュされているからかもしれません。
最近メールを使い始めた人にとって、「メールは、出したらすぐに届くもの」かもしれませんが、インターネット黎明期からメールを使っていた人にとって、電子メールは「いつ着くかわからず、いつ読まれるかわからず、もしかしたら届かないかもしれない(そして事故の確率は、Yメールよりも高いかもしれない)もの」なのです。
元ネタでは、富士通の名前が何度か出てきます。しかし、富士通は、携帯電話の、メーカーではありますが、キャリアではありません。また、DoCoMo 用の携帯電話は作っていますが、他のキャリアの電話は作っていません。ということは、キャリアのメール サーバが点検中であれば、当然メールは届きません。そして、そのことに関して、富士通が関与することはできません。ここに、システム提供者が「完璧」にできない要因があります。
キャリアが予備のサーバを稼働させることは、当然考えられますが、RFID 児童登下校管理システムの提供者が考えるシステム範囲には含まれていないでしょう。しかし、エンド ユーザからはそんなことはわかりませんから、システム提供者が悪者にならざるを得ません。
『良いものを作ろう。』この意識は、たぶん同じ。しかし。『良いもの』が指す意味を、お互いに確認しあってきたか。この問題には、触れられていないように思う。
エンド ユーザはたった一人かもしれない。けれども、システム提供者側には、たくさんの“部隊”が関わる。営業、製造、サポート。これはシステム提供者側の問題であり、発注側も注意しなければならないことだと思う。しかし、担当が変わるのは、どちらも同じだろう。そうであるなら、次の担当にも同じ気持ちを引き継いでいかなければならない。また、引き継がれているか、確認しなければならない。どちらかの気持ちだけが高いなら、気持ちは空回りしてしまう。
どうもこのシステム、根本的なところで設計ミスがあるように思います。なんと言っても、最初にあげたように、「メールが、送信とほぼ同時に受信できる」ことを前提としていること。今時の技術者にとっては、“当たり前”なのでしょうか。そもそも、インターネットを中継する時点で、いろんな意味で信頼性がグッと下がるのですが。。。
エンド ユーザの情熱と、営業のごり押しが先走り、技術者に「ノー」と言わせなかった。元々冷めている技術者が「最初っからできっこないこというなよ」と言っているような気がします。
投稿日時 : 2007年3月19日 22:12