これは、1円にもならない無駄な技術 Advent Calendar 2014 と Visual Basic Advent Calendar 2014の12/24日の記事。
今回は技術というよりは、考え方となります。
「サンクコスト」って言葉はなんとなくどこかで聞いたことがあるのでは無いでしょうか?
会計か経済用語で、日本語に訳すと「埋没費用」つまり「取り返せない費用」といった意味になります。
サンクコストの例としてよく引き合いに出されるのが、映画のチケットの話ですね。
2時間の映画を1,800円払って観に行き、それが10分経ってからつまらないと判断した場合、
10分で映画館を出るのか、残りの1時間50分を観続けるのか、という説明です。
この場合、映画代の1,800円とつまらないと感じるまでの10分が埋没費用となります。
10分で映画館を出ようが残りの1時間50分を観続けようが、埋没費用を回収することはできません。
しかし残り1時間50分を他のことに使うほうが経済的には合理的という話ですね。
このようなサンクコストの呪縛は、「せっかく払ったのだから、もったいない」というマインドや、自分の失敗を認めたくないという意識から生じるものだとか。実際、サンクコストを冷静に認識することも、実は結構難しいものです。
特に日本人には日本語に「もったいない」という言葉もあるように、「もったいない」が染み付いている方が多いことでしょう。
さて、今日はクリスマス・イブです。サンクコストの呪縛は恋愛にも当て嵌められます。
ケース1「5年近く付き合ってきたのに彼には結婚する意志が見られない、別の女性の影もあるけど見て見ぬふり。もう30歳で恋愛感情も無くなってきたけど、ここで別れるなんて無理。だって5年も付き合ってたんだから」
ここでいう「サンクコスト」は5年間の歳月で、その貴重な時間は取り戻せない。しかし、彼と結婚したとしても結局幸せにはなれないだろう。30歳なら、まだやり直しはできる。惰性で付き合っているくらいなら、一刻も早く別れて新たなパートナーを探すべきだ。
ケース2「自分には高嶺の花と思ったけど、なんとか振り向いてもらおうと食事を奢ったりプレゼントしたり夜景を見に行ったりで、それなりに金額を使ってきた。さすがに無理だと思ってるけど、これまで掛けた費用を考えるとモノにするまでやめれない」
ここでいう「サンクコスト」は食事代やプレゼント代や交通費代。もはや恋愛感情より掛けた費用の大きさから回収したい気持ちが大きくなっている。これ以上は損失が大きくなるので、きっぱり諦めて別のパートナーを探すべきた。
他にもサンクコストについては、スポーツの競技者にも当て嵌まることがあるようです。
「為末、競技においてのサンクコスト、を語る - Togetterまとめ」
さて、Visual Basic Advent Calendar 2014も兼ねてしまったのでVisual Basicについてである。
クライアント/サーバ型システムが全盛だった時代、Visual Basic6.0を使って たくさんの業務アプリケーションが開発された為、今でも問題なく利用されている。VB6.0が出てからもう16年も経っており、メンテナンスも維持しにくくなっている。
お客さんに、もはやサンクコストですリプレースしましょうと提案しても、この不況化において無い袖は振れません。
しかし、お客さんが困っているなら何とか解決してあげたい。
Windows7にはXPモードがあるが、Windows8以降にはXPモードはついていない。「XPモードに頼ってはいけない」の記事などの懸念もある。
その場合、「アプリケーションの仮想化」という技術があります。参照:VB6アプリの延命を試みる
有名なのに、ThinApp(VMware)やXenApp(Citrix)やApp-V(Microsoft)、フリーのCameyoというのがあります。
ThinAppは、アプリケーションとその動作環境(レジストリやDLLなど)をパッケージングしてVOS上で動かす技術です。
パッケージングされたアプリケーションは、直接動作するOSの環境を利用しません。
もちろん全てが動作するのかの検証は必要ですが、リプレース費用からすれば費用は抑えれれるでしょう。
【まとめ】
サンクコストは、過去を切り捨てて未来に向かう考え方である。過去がすべて誤りだったわけではない、かかった費用は取り戻せないが、それまでに培った経験や知識は活かせるわけです。
執着やこだわりや見得はいい面もあるが、時として犯罪を引き起こしてしまうことがある。
サンクコストという概念をもっと広めることで、ストーカー行為や怨恨による殺人事件などの犯罪を減らすことが出来るのではないだろうか。