「ひがやすを BOF ITゼネコンをぶっつぶせ」 に期待にて
技術力のあるところがプロジェクトを統括すれば、安く、早く、良いものを作ることができる。これは、技術を売り物に独立起業している人間であれば多くが「うちにやらせてくれるなら出来る」と言うことでしょう。この点はさしたる問題ではない。
などと言ったわけなのですが…。この点、IT業界特有のものでしょう。
IT業界には設備がいらない
IT業界特有、というのはシステム開発において「設備」というものが重視されない点です。
自動車整備工の人が、自宅の方が設備がよいので自宅で作業したいと言うでしょうか?
医師の人が、自宅の方が設備が良いので自宅で手術した方がいいのにと言うでしょうか?
しかしプログラマは「家のマシンの方が性能いいし、モニタもでかいし、本もあるし、
ネットも速いし、家でプログラム書く方がいいよね」と言う人が多い。
マシンが必要といっても、たかだか数十万で済む話なのです。
個人の事業者では手が出ないような設備は必要としない。
だからこそ自宅の方が環境が良いなんてことがおこるし、
個人で独立することが容易な業界でもある。
大資本が生き残るために選んだことは
車の製造のようなことでは、個人で太刀打ちすることはできません。
資本がなければ設計することも試作することもテストすることもままならない。
しかし、IT業界は設備がいくらよかろうとも、優れた技術者を確保できなければデスマーチになりますし、
設備が貧弱だろうが優れた技術者であればものを作ってしまうこともある。
いや、環境が貧弱でもいいって言うわけではないのですけどね。
工場のような、資本を投じることで生産性、収益性を得るという戦略が効かない業界なのですね。
それぐらいに技術者への属人性の高い業界とも言えましょう。
そうなると、大資本ならではの高収益体制をどうやって作るか。
システム開発は金額のかかるものです。100億とか1000億とかいうプロジェクトもあるわけです。
そして、その金額の取引をするには資本的な信用がいる。
この信用に対して金を取る、これこそが大資本がその資本を活かして高収益を得るための唯一無二の方法なのです。
メインフレームとかスーパーコンピュータとかハードの絡むことは単純に資本がないと取り扱えないですから
資本を使った仕事をすればいいわけですが、純粋にソフトウェアだけの開発では資本ならではのやり方というのがないのですよね…。
対応はあまりに簡単
大資本ならではの稼ぎ方というのはIT業界では資本の信用の部分ぐらいしかありません。
高性能な機械を導入すれば工場が高収益になるような業界ではない。
別に資本ならではという稼ぎ方をしようというのでなければ、
ITゼネコンを倒す方法をみんなで考えよう
で言うところの
「ISIDだってITゼネコンじゃん」と思う方もいらっしゃるでしょう。昔は、そんなこともありましたが、最近は違います。「丸投げ禁止」「技術力という足腰を鍛える」「チームにアーキテクトをきちんと入れて全体のアーキテクチャをきちんと見させる」というのは、会社の偉い人からのメッセージです。
という当たり前のことをやればいいわけです。もっとも、こんなことはどこのSIerも言っているぐらいには
誰にでもわかるようなことなのですが、そんな素朴なことを本当に実践できている会社はなかなかない。
その「当たり前のこと」というのは、投資してから価値を生むまでの期間が長く、かつ回収できるかも不安定なことです。
投資するなら即効性があって還元率の高いところから資本を突っ込みたいというものです。
地味に技術力を磨くなんて、面倒で不確実なことに投資をするなんてやりたくないというのが人情というもの。
地味に教育に力を入れていきましょう
そんな面倒で誰もやりたがらない「勉強」をしてきた人が技術者としては重宝されているわけですね。
「即戦力」とばかり言ってないで「教育」に力を入れた方がいいのではないでしょうか。
面倒で金もかかりますが、長い目で見ればそれだけのリターンがあります。
というか、業界を挙げて人を育てないと業界自体の未来が危ぶまれるのですよね…。
投稿日時 : 2008年4月20日 21:19