技術系の掲示板で「利用マナーについて」というのは幾度となく繰り返された議論だと思います。
私はそこに潜む問題点をシステムではなく、運用でカバーしようとするから根絶できず、
そして対策会議的に議論が繰り返されるのだと考えています。
まずはいわゆる「電子掲示板」が、そもそも何を目的としたシステムなのかを考えてみましょう。
技術掲示板は掲示板なのか?
掲示板というのは、そもそも「掲示」をするためのものです。
gooの国語辞典で繰ると
(名)スル
人目につきやすい所に掲げ示すこと。また、示された文書。
「日程を―する」「―を読む」
とあります。みんなが見る場所で質問などをすれば答えてくれる人もいるかもしれない。
みんなが見る場所で何か話題を持ち上げれば話に乗ってくれる人もいるかもしれない。
しかし、「みんなが見る」という時点で多数の利用者を想定しているのですから、
思惑が違う人がいろいろな掲示をすると混沌として訳がわからなくなる。
ですから、用途を限定した掲示板が生まれ来るのはごく自然なことです。
では、我々技術者が使う掲示板というのは、カテゴリを絞って「掲示」だけできればいいのでしょうか?
ある掲示板では「双方向の情報交換のためのコミュニティ」としています。
単なる一方通行のやりとりは控えるように記載されていたりする。これはもはや「掲示」ではない。
では、一体何ができる必要があるのか。そこは立場により、考え方によりいろいろあるでしょうが、
私が欲するものは大体以下の通りです。
- 質問と解答の組を蓄積することで、Q&A集としての知識の集積を行う場
- 議論を行う場
掲示板が提供するものは個人の問題解決ではない
既存の掲示板の利用者には「自分の抱える問題を解決してくれる場」として
掲示板に書き込む方も多いかと思います。
しかし、掲示板で回答する立場の人というのは「その個人が問題解決」さえすればよい、
と考えている人は少数派なのではないでしょうか。
もし、個人の問題解決だけすればよいのであれば、延々と履歴を残す必要はないし、
解答は公開の場で行う必要もない。
なにより、「答えさえ得られればよい」という立場でマルチポストをするなどした場合に
強く非難される風潮も「個人の問題解決」を是とするなら否定されるべきです。
これらのことからも、「個人の問題解決」はおまけでしかなく、
問題事例とその解答というものを共有するということが主目的ではないかと思うのです。
しかし、現在の掲示板は問題点を把握するためのやり取りが多く、
後で参照して利用するには適さない形となっているものも多いのではないでしょうか。
少なくとも、「まとめ」が必要になるのだと思うのです。
類似事例や過去事例への補足といった形で情報資産を活かすべきだと考えます。
時には議論も行いたい
技術的なトラブルなど、問いに対して明確な解があるものばかりで利用されているかといえばそうでもない。
技術者はやはり議論が好きな方が多い。やはり、「問い-答え」に縛られない議論もしたいところです。
しかし、議論というのはスキルのいるもので、話の流れ、議題を的確にとらえなくてはならない。
多数の人が参加し、長く議論されているスレッドなど、話の流れを把握するのも大変だし、
議題をとらえるのも大変です。
「それは過去に結論済み」といった発言も出てきますし
「XXという趣旨の発言はしていない、何か取り違えていないか?」といったこともあります。
これは、1次ソースである、個々の人の発言そのままというものしか与えられず、
要約という大変労力のかかる作業が個々の読み手に任されているということが
難点ではないかと思うのです。並行してまとめサイトが作られる必要があるのではないか。
炎上状態になると、多数の人から同じ趣旨の質問が大量になされたりすることもある。
これも、論旨をまとめることで重複をずっと減らせると思いますし、
解答せずに放置されている議題なども明確化され、真の意味での議論を進めるには非常に有効だと思います。
また、「議論」のつもりで自己の主張を叫ぶだけの人は、議論ができていないことが明確化されるとも思います。
ではどのようなシステムにするべきなのか
というところは、次のエントリにて具体案を提示することにします。
投稿日時 : 2008年2月1日 13:37