掲示板は何のためのシステムかでは
技術系のいわゆる電子掲示板と呼ばれるものは、実際には単なる「掲示版」ではなく、
知識の集積の機能と、議論のための機能が求められているのではないか、ということを述べました。
この稿ではそのための機能性についての案を考えたいと思います。
知識の集積に必要な機能性
カテゴライズ
投稿された質問などはネタ振りで、それを取り上げ知識の形にまとめて集積を行うというスタンスのシステムを考えましょう。
まずはネタ投稿。これは一般のスレッド式掲示板などとそれほど変わらないと思います。
ただし、ジャンルのカテゴライズは投稿者によってある程度事前の選定は可能ですが、
後にジャンル変更できるようにすべきと考えます。また、複数のジャンルに及ぶものもありますから、
複数のカテゴリをタグ付けするような方法論が適しているのではないかと思います。
とくに質問を投稿する方には初心者も多く、カテゴライズがそもそも出来ないケースを
想定しておく必要があると思います。JavaとJavascriptが混同されるのはもう沢山です。
この先はおぼろげにしか考えていない部分なのですが、カテゴリは「はてな」などで使われている
タグ付けの機能ではちょっと弱いのではないかと考えています。
タグ自体が暗黙に木構造をなしているのではないか。
たとえば、Strutsというフレームワークについての質問にはStrutsタグが付くと思いますが、
StrutsはJava上で動作するフレームワークですから、暗黙に上位にJavaタグが存在するはず。
いちいちタグ付けをする際にJava、Strutsと療法記載する必要はないと思うのです。
木構造をなしたタグがあり、それにより投稿をフィルタリングしていけるという作りがよいのではないでしょうか。
情報は編集された後に保管される
既存の掲示板のシステムではネタ振りをした質問者と回答者とのやりとりが、
そのままの形で保管されるわけですが、実際にはそんなものはいらないのではないか。
知識の集積という観点では、一度編集が入った、
純度を高めた情報があればそれでよいのではないかと思うのです。
もちろん、元ネタというか1次資料となる会話、やりとりは保管する必要があるでしょう。
しかし、それはメインで参照されるものではなく、編集された知識の部分に違和感を覚えた際に
その元を辿るような意味合いのものだと思うのです。
ある意味でこれに近いのはwikipediaの編集があたるのかもしれません。
ノートによる議論は裏方として隠れており、編集後の純度を高めた知識、
つまり、普段我々が目にしている記事がメインで参照されるわけです。
掲示板を知識・経験の蓄積の元ネタとするならば、
ちゃんと編集し集積するところまでを考慮に入れてシステム化するべきではないかと思います。
議論を支援するための機能
掲示板での議論で問題となるのは、その時点での論旨をとらえるのが難しい点、
またそこまでの議論で出てきた前提条件を把握することが難しい点にあると思います。
時系列的に、どこでどういった問題提起がなされ、その問題に一定の解が出たのかどうか。
この辺りのまとめが付随していれば、長く延びたスレッドに途中参加で議論に加わることも可能でしょう。
@ITなどでは長くなったスレッドでは、繰り返し同じ趣旨の発言がなされたりしています。
これを、「スレッドの流れを把握した上で発言しろ!」と人間側で注意するという方向性に持っていくと、
繰り返しマナーについての議論がなされるような事態となります。
ここは是非、システムで前提把握、提起されている問題把握のサポートをしたいところ。
このようにシステムでサポートすることで、自己矛盾に陥るような一貫性のない発言を繰り返す
「議論のできない人」にも、論理的考察をする方向へコーチングできるのかもしれません。
そして、そういう場を作ることで、論客が集う、活気のある場となるのかもしれません。
投稿日時 : 2008年2月1日 18:02