先日Sun tech daysに行ってきたのですが、
ジェームス・ゴスリン氏が基調講演で話していたことで印象深かったことをまとめておきます。
Javaの普及について
まずは、Javaが非常に普及したということを話していました。
- 世界中で600万人の開発者(どのレベルから?Javaを学んだ学生など、
プログラムできる人間だともっと増えるということを話していたから業務としての開発者か?)
- 55億台のデバイス(携帯電話などのJ2ME機器を含む)
- PCの主要メーカー(top10社)の出荷するPCのうち50%近くにJavaがプレインストールされている
- 金融系での採用率が100%(米国での話しか?)
Javaの標準化について
次に、Javaの標準化の話について。Javaの仕様は
JCPによって定められます。
このJCPによって定められる標準の特徴は、仕様、参照実装、テストスウィートの3つからなるということです。
膨大な仕様書が書かれたとしても実装がひとつも無いのでは
使えるのかどうかも分からない、仕様に問題があるのかもわからない。
実際に触ることの出来る参照実装という存在(例えばJ2EEサーバの参照実装であるGlassfishなど)は
非常に重要であるということを説いておられました。
そして、仕様と互換性を持つ実装であるかを確認するためのテストスウィートも
また重要であるということを述べておられました。
こんにちJavaのVMの実装間での高い互換性が保たれているのはこのテストスウィートに拠るところが大きい。
オープン化について
Javaは当初からそのソースが公開されており、オープンではあったわけですが、
ライセンスの関係で完全なオープンとはなっていなかったという話。
今、OpenJDKと言われるオープンソースのJDKが作られていますが、
Javaを作る際に他社から受けていたライセンスを解決するところに苦労があったということを話されていました。
なるほど、単に自由に使えるようにライセンスを解放しろと言われても、
自社開発分はともかく、借りているライセンスまで自由にとはいかない。
そういう権利的な部分があって今まで完全なオープン化が阻まれていたという事情には肯けるものがありますね。
Javaのオープン化は着々と進んでいるようです。
言語間で相互に翻訳をつけれるドキュメントサイト
コミュニティもまたオープン化されるべきだという話をされていました。
話の中で出てきたのはdoc.java.sun.comです。
昔、自分はWeb2.0的手法で翻訳をつけるようなWikiのようなものが作れないかと構想していたことがあるのですが、
自分が考えるようなことなんてのは、やはり他にも考える人がいるもので、Sunでそれをやっているというのだから
興味を持たずにはいられません。
現時点では対象となっているプロジェクトが少ないですが、集合知として言語間の相互翻訳や、
あるいは補足の充実、サンプルコードの充実が図られるのは喜ばしいことです。
今後の行く末が気になるサイトのひとつですね。
また、この手法は今後プログラム界隈では広がっていくのではないでしょうか。
エディタ、ツールの重要性
ゴスリン氏というとUnix系で用いられるエディタEmacsの開発にも
寄与した人物なのですが、30年前ならこのエディタは素晴らしいものだったが、今ではEmacsでJavaを書いてはいけないと
言うことを言っておられたのが印象的でした。
曰く、「Emacsは死んでなければならない。」
これは、開発においてエディタ、ツールといったものが言語と同じぐらい重要なものであることを強調してのことです。
確かに、ここ数年でのエディタの利便性向上は著しく、我々開発者もその恩恵を大きく受けることができました。
言語仕様での解決という方法論の他に、エディタやツールによる解決もあるということ。
この点は深く共感できるのではないでしょうか。
投稿日時 : 2007年11月14日 12:57