コミュニティで質問者が良く使う言葉として「ご教授ください」というものがあります。たとえば、質問者が回答者に教えを願いたい時に使うようですが、これは「ご教授」ではなく「ご教示」が正しい場合がほとんどです。
ご教示とは - 大辞林 第二版 (三省堂) からの引用
(1) [「きょうし」とも] おしえしめすこと。示教。「御―を賜りたく」
(2) 実験・調査で、研究者の意図する行動を被験者にとらせるための指示。
「教示」にはそれほど重い意味はありません。ちょっとした知見を伺いたい時や、短い期間で教えを乞う場合に用いても良さそうです。
ご教授とは - 大辞林 第二版 (三省堂) からの引用
(1) (ア) 児童・生徒に知識・技能を与え、そこからさらに知識への興味を呼び起こすこと。(イ) 専門的な学問・技芸を教えること。「国文学を―する」「書道―」
(2) 大学などの高等教育機関において、専門の学問・技能を教え、また自らは研究に従事する人の職名。助教授・講師の上位。
一方「教授」では、教えるのは一部ではなく特定の技芸について教え授ける。(伝授とかそういう次元だと思います) 長期間に渡って教え授けるという非常に重い意味になります。長期間という部分については「さらに興味を起こすこと」という部分から読み取りました。
その場でちょっとした知見を伺いたい場合は「ご教示」が正しいです。「ご教示」ではなく本当に「ご教授」願いたいのであれば、上記のように重い意味合いになりますので、丁寧に見えるからといって乱用するのは禁物かもしれません。
以上より掲示板や ML などで「ご教授」を使うのは誤りだと思われます。顔を合わせているわけでもないのに、そんな高度なことを相手に要求していると捉えかねません。(本人はそのつもりでないことはわかるでしょうけど) ただ、慇懃無礼もしくは皮肉と捕らえかねないので「ご教授」ではなく「ご教示」を使うようにした方が無難かと思われます。