日々是遊戯:ニンテンドーDSのマジコン訴訟――なぜ「不正競争防止法」? - ITmedia +D Games
一部で騒ぎになりました、マジコン訴訟。
俺は欲しかったけど持ってないので詳しいことは知りませんが、「あれ?」って思った点をひとつ。
任天堂が発表したリリースでも、「これらの機器により、インターネット上の違法アップロードサイト等から入手した本来ニンテンドーDS上では起動しないはずのゲーム・プログラムの複製物が、起動可能となるため、当該機器の輸入・販売等の行為により、当社およびソフトメーカー各社は極めて大きな損害を被っている」としており、ソフトのコピー行為ではなく、「本来起動しないはずのコピーソフトが起動できてしまう」点を論拠に持ってきていることが分かる。
同じようなケースで、かつてプレイステーションやセガサターンなどに取り付けることで、CD-Rなどに焼いたコピーソフトが動くようにできてしまう「MODチップ」という商品が、やはり不正競争防止法に抵触するとして販売できなくなっている。今回のケースも「本来動かないものを動くようにしている」という点ではほぼ同じであり、論拠としては十分だろう。
ここ。
まず、MODチップというのは何かというと、プレステ等のゲーム機本体に取り付ける小さなチップ。
プレステのCDは、CD-Rにバックアップしたときに書き込めない領域に特殊な識別符号を持っており、プレステはこの識別符合の有無によって、CDが正規品かコピーかを見分けている。
MODチップは、このチェックを騙すことによって、コピーCDでゲームが動くようにするものだ。
このケースでは、まさに「本来動かないコピーCDを動くようにするチップ」である。
ではマジコンは?
ちょっとぐぐってみた限りでは、DSマジコンにはDSカードスロットにゲームデータの入ったカードを挿す1スロット型と、GBAスロットにゲームデータの入ったカートリッジを挿す2スロット型があるらしい。主流だったR4は1スロット型だ。
で、2スロット型だと、単にゲームデータの入ったカートリッジをGBAスロットに挿しても起動できないところ、マジコンを挿していると起動できるというのは、MODチップと同じ構図で真っ黒。
まぁそんなわけで言い逃れできなくなってしまったわけだが、このエントリを書こうと思った当初は2スロット型のことはまったく忘れていて、「1スロット型ならOKなんじゃね?」と思っていたので、せっかくだから引き続き書く。
要するにそこで問題になるのは、吸い出してコピーカードに書き込んだROMはそのままでは動かず、ROMデータに何らかの細工をしたり、実行時に偽の信号を流したりして動かすのか? ということ。
こういった細工をマジコンが行うのであれば、それは確かに黒。
だが、そういったことをしなくても動くのであれば、それは「本来動かないものを動くようにしている」とは言えないのではないか?
任天堂が予期した形ではないにせよ、無改造で動いているわけだから。
マジコンに入れたゲームをプレイするためにはファームウェアにパッチを当てる必要があるとかいうケースだと、そのパッチツールは黒かもしれないが、マジコン自体がそれをしないのなら微妙。
まぁ、各ゲーム会社が出荷前に作るであろう生のROMイメージが入手できない以上、吸い出したものが生データと寸分違わず同じであることは確認できないので、「無改造」と断言することはできない気はする。
だが、仮に証拠品として生イメージが出てきて、吸い出したROMイメージと一部データが異なっていたとしても、「その差異によって非純正カードでも動くようになったのか」「そのようにデータを書き換えれば動くようになると知っていて書き換えたのか」という点は問題になるんではないのかな?
なお、このエントリは、マジコンの使用を助長するものではありません。