個人情報保護法が成立してから2年以上が経過した。
当時はいろいろと騒ぎになったものだが、自分の生活はあまり変わっていないように思う。
昨今は日本版SOX法の話題がしきりに取り沙汰される。
続発したWinny等による個人情報漏洩が引き金の一つであることは想像に難くない。
だがしかし、最近ふと思う。
「個人情報とは、本当に保護すべきものなのか?」
もちろん、ある意味では保護すべきである。
自分のことをみだりに他人に知られるのは気味が悪いし、(俺は無縁だが)ストーカー被害などの問題もあろう。
だが、出すべき箇所では積極的に出していくべきだ。
住所やカード番号を知られるのが嫌だからと言っていては通販は利用できない。
リスクと利便性はトレードオフの関係にあろう。
何より、個人情報には際限がない。
他人が行っている何らかのサービスを利用すれば、そこに個人情報が生まれる。
個人情報とは住所や氏名だけではない。
銀行の取引履歴、コンビニの買い物履歴、タクシーの乗車履歴、病院の通院記録…すべて個人情報だ。
新たな個人情報が生まれないようにするのは限度がある。社会サービスの利用を拒否しなければならないからだ。
これだけのデータが、今は各業者で個別に管理されている。
ならば、それを結合させたらどうだろうと思うわけだ。
例えば、カードで買い物をした記録は、カード会社には「何月何日、合計いくら」という形でしか残らない。一方で、スーパーのレシートには、カードで買ったことは書かれていないこともあるだろう。
これを結合すれば、カードで買った商品の細かな明細が手に入る。
今は、Microsoft Money なんかを使って、買い物をするたびに個人で記録をつけていくしかない。
どこかのサーバに集中管理されて、月に一度情報をダウンロードするだけで、今月の金の流れが事細かにわかったら便利だと思うのだ。
もちろん、集中管理にはリスクが伴う。流出した情報が悪用された時のダメージは大きくなろう。
だから、漏らしたくない情報はきっちりと意思表示し、それが遵守される仕組みが必要になるだろう。
一方で、流したほうが便利だと思う情報は、企業の枠を超えてどんどん利用してもらってもいいのではないか。
だが、現実的な可能性を考えずに、「個人情報保護の観点からダメ」と一言で却下されそうな気がしている。
俺は、国民総背番号制という言葉には、世間で言われているほどには嫌悪を感じない。
個人情報保護法が施行された当時、「いろいろ厳しくなって大変なんですよ」という言葉は聞いたが、「これで生活が便利になる」という言葉は聞かなかったし、今も便利になったという実感はない。
どうせ、各企業内では個人情報を山のように保管しているのだから、もうちょっとポジティブな方向に有効利用してくれんかと思うのだ。