最近よく聞くのがSaaS(Software as a Service)だ。
SOA(Service Oriented Architecture)は、大粒度のサービスを単位として組み立ててシステムを構築するという開発側の視点だったが、SaaSはビジネス寄りの視点である。
パッケージソフトウェアを買ってくるのではなく、ソフトウェアをWebを通じたサービスという形で提供しようというものだ。
SaaSで提供されるサービスを組み合わせてSOAシステムを作る、ということもあるだろう。
かつてASP(Application Service Provider)というのがあったが、本質的にはそれと変わっていないと言っていい。
対して、Microsoftが推進しているのがS+S(Software plus Service)である。
SaaSとS+Sの違うところは、その形態と、何より「Software」という言葉の意味だ。
SaaSは「ソフトウェアをサービスとして提供する」であり、S+Sは「ソフトウェアとサービスを提供する」である。
SaaSは「ソフトウェア=サービス」だが、S+Sは「ソフトウェア≠サービス」である。
ここでS+Sの言う「ソフトウェア」とは、いわゆる従来のパッケージソフトウェアのことだ。
SaaSの代表選手はGoogleだ。
競合するGoogle DocsとMicrosoft Wordが、この対立を象徴する。
もう30年以上もパッケージソフトウェアを売ってきたMicrosoftとしては、ぽっと出のGoogleなんぞにお株を奪われるわけにはいかない。
Microsoftは今後もパッケージソフトウェアを作り、売っていく。そこに昨今のサービス指向を融合させ、デスクトップソフトウェアとWebサービスが相互に補い合う形がS+Sだと言えるだろう。
個人的にはSaaSよりもS+Sの方が現実的であり、また堅実であるように思う。
SaaSからは、デスクトップソフトウェアを完全にWebで置き換えることが可能だという「なんでもWeb主義」のニオイがプンプンするからだ。
ぶっちゃけた話、SaaSってのはWebアプリの進化系で、S+Sはクラサバアプリの進化系である。
こうしてみると、ソフトウェアトレンドの歴史というのは繰り返すのだなぁ。