Programming SHOT BARへようこそ。今回は数字の話です。
学術でも仕事でもそうですが、世の中は数字というものが大好きです。
数字化するとはどういうことなのか考えて見ましょう。
数字化すれば誰でもわかる
IT技術者であれば作ろうとしているシステムの技術的な難易度やそのボリューム感について
おおよそ把握することができると思いますが、その感触を非IT技術者に伝えることは難しい。
しかし、(あまりよい方法ではないかもしれませんが)何人の技術者で何ヶ月かかりますという、
いわゆる人月というモノサシを用意して数字にすることで非技術者にもボリューム感を伝えることができます。
数字にすることで10と100なら100の方が10倍大変ということぐらいは伝わります。
定量化して数字にすることで誰にでもその分量が分かるようになるわけです。
数値化の罠
数字というのは非常に便利で、とても直感的に量を推し量ることができます。
数値化できていない状況から、数値化することであやふやだったモノが顕在化してくることも多くあります。
そのため、ある程度賢い人であれば、数値化することに躍起になりますし、
また、その数値が大きくなるようにと躍起になります。
しかし、ここに落とし穴があります。
数字というのは分析の道具ではありますが、対照の事柄全てを表すものではありません。
要するに抽象化の方法論の一種に過ぎない。
抽象化ということは見ようとしているもの以外を捨て去っているということです。
捨てたものは主観に基づき「関係ない」と思ったものであって、本当に関係ないものなのかはわかりません。
どういう視点で捉えた数値なのかということは非常に重要です。
その数字はある理由に基づいて抽出されている。
その過程を理解してその数字を用いないと、無意味な数値が導かれてしまう。
数字化しても捕らえられない存在
数値化してもなかなか捕らえられないものも存在します。
具体的には数値のパラメータが多すぎる場合などです。
数値化は、せいぜい2,3個程度までのパラメータが主となって影響する場合でないとうまく扱えません。
非常に多くのパラメータが同じようなレベルで影響する環境下では、
数値化してもなかなか最適解を得られません。
数値化すれば答えがおのずと求まるというのは簡単な事象に限られるのです。
数字を解さないことはおろかですが、数字しか解さないこともまた愚かです。
まだ数字にされていないものもあれば、数字にしにくいものもある。ましてや数字の関連性がつかめないものもある。
数字は便利な道具ですが道具であることをよく心得ておかなければなりません。
そうしないと、目先の数字にとらわれて何か大事なものを失うことになりかねません。
投稿日時 : 2007年11月4日 19:52