前回までのあらすじ。-----------------------------------------------------------------
わんくま同盟国という大小の国が集まった統一国家がありました。
その同盟国東に存在する辺境の小国家エピテーメで一人の老人住んでいました。
この老人、特産のお茶が大好きで、いつも川のほとりでたたずんでお茶をすするのが日課でした。
いつものように老人が”てーたいむ”を楽しんでいるその時、川から流れてくるものを見つけました。
それは、赤ちゃんを乗せた籠だったのですが、老人はその赤ちゃんを助ける機会を逸し、下流の滝壺へ…
その頃、滝を越えた下流でご主人様のために魚釣りをしていたヘンテコな形をした人形がいました。
この人形は魔法の命を与えられ、人間と同じように動き、話、思考が出来るようです。
その人形がなんと、赤ちゃんを釣り上げて偶然にも助ける事が出来てしまったようです。
しかし、この人形は頭が少し悪く、赤ちゃんを魚と間違えているようです。
魚と間違われたこの赤ちゃんの運命やいかに…
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第03話 <現る>
赤ん坊を抱きかかえ、人形は山道を登っていた。
ここからこの人形の主人の所に戻るにはこの山道を伝って二刻ぐらいの時間が必要である。
この道は別名、「挟間の道」とよばれ、道の両脇に広がる森に入ってしまうと二度と戻れないとうわさされ、恐れられている道であった。
それ故、この山道を利用する街の住人も少なく、森には手つかずの自然と野生の動植物にあふれていた。
狭い道から森を覗くと、直ぐに小動物の息遣いが聞こえてくる程に、この森は動物たちにとっては楽園と言える存在である。
が、しかし、いったん森に入ってしまうと容易に元の道に戻る事が出来ず、たとえ帰ってこれたとしても、何故が、その時の記憶がなくなる者や、さらにはその前の記憶すら失う人間も出てしまう。まさに禁忌の森であった。
その森に挟まれた道を、この人形は進んでいく。
時々、森の動物が道を横切り、その都度この人形は動物たちに何やら話しかけていた。
「やぁ、りすのりーさん。奥さんのスーさんは元気かい?」
「こないだガキが4匹も生まれてよ! ちょっくらこの森にエサ探しにきたんだよ。」
「ところであ~る!。今日もご主人様のために魚釣り? お互いたいへんだね。」
「そうなんだよ、『魚を釣るまで帰ってくるなー!!』 なんて言うもんだから、まいっちゃうよ。」
「お互い大変だな。じゃ俺、急ぐからまたな。」
「ああ、奥さんに宜しく。こんどひまわりの種を持って遊びに行くよ!」
「おう、待ってるぜ。」
そんな会話が動物に出会うたびに繰り返されていく。
この人形、動物とも会話できてしかも森の動物から『あ~る』と呼ばれて結構人気者らしい。
この人形がちょうどあと家まで半分の所まで来た時、なにやら、森の動物が慌ただしく移動しているのが目に入った。
「どうしたの?、何かあったの??」
と、こちらが話しかけても返事が返ってこない。何かから逃げるように移動していくのである。
不思議に思ったその時、森から巨大なイノシシが現れた。
あたりを見回すイノシシ…道の真ん中を歩いていた人形はすぐに見つけられてしまった。
イノシシは、こちらを睨みつけると、「グオオォォ…」と大きな咆哮をあげた。
後ろ足で、地面を蹴りつつ足場を固める。
あ~ると呼ばれていた人形は、「ヒッ…」と息を飲みこみ、そのまま動けないでいる。
イノシシは不意に頭を低く構えると、突如として猛然と突進してきた。
未だに動けないでいる人形
突進してくるイノシシ
そして、まさに吹き飛ばされようとしたその瞬間
真横から何やら森から飛び出したかと思うと、イノシシのこめかみに激しく衝突した。
イノシシは道の脇まで飛ばされ、大きく体制を崩した。
イノシシにぶつかった物体は、クルクルときれいな放物線を空に描きながら着地した。
それは、まだ、子供の熊の様に見えた。
小熊は起き上がろうとするイノシシに向きなおりながら、背中越しに人形に叫んだ。
「早く逃げて!」
「…?」
「はやく!!!」
「で、でも…」
「いいから!」
人形は、状況も判らないまま、その場から逃げだした。
ただ危険であることは、混乱する頭のでも理解できた。
必死に逃げる人形の胸に、魚と間違われた赤ちゃんはまだ大切に抱かれていた。
そして物語は迷走する。 次回乞うご期待。