90年代まで、「OS」という言葉は、その登場以来使われてきた意味で使われていた。
すなわち、ハードウェアを管理し、アプリケーションが動く土台を提供するものという意味でだ。
だが、最近は、その意味が変わりつつあるのではないかと思う。
90年代後半から、一般家庭にPCが普及し始め、PCは一部のオタクのものではなくなった。
WordとExcelしか使わないとか、Webブラウザとメーラしか使わないといった人たちも「PCユーザ」の仲間入りを果たし、また、急激に増加した。
そうした人たちにしてみれば、自らが使ういくつかのソフトウェア――Office とかブラウザとかメーラとか――こそがパソコンのすべてであることも少なくなかろう。
Office さえ動けばよい、Office がパソコンのすべてであるならば、Office を OS と呼んでも差し支えないのではないか、ということだ。
もちろん、Office を実現しているさまざまな機能――ウィンドウマネージャやクリップボード、その他――は、旧来の意味での OS が提供しているわけだが、Office しか使わないユーザにとっては、それらを OS が提供していようが Office が独自に実装していようが関係ない話だ。
昨今、「WebOS」という言葉を耳にするたびに、「そんなものは OS ではない」と思っていたが、そう考えてみるとしっくり来る面もある。「OS の入れ替えに振り回されたくない」という言葉も理解できる気がしてくる。
俺は Web ブラウザをアプリケーション プラットフォームにしようという考えには反対なのだが、賛否はさておいて、そういった環境が実現したならば、そういった環境でこと足りるユーザにとっては、Web ブラウザこそコンピュータのすべてになろう。
OS はアプリケーションから見てハードウェアを抽象化するが、既に OS そのものが、アプリケーションを通して、ユーザにとっては抽象化される存在になりつつあるということだ。
より細かく分類すれば、OS はカーネルとシェルからなる(Unix 文化の人はシェルを OS に含めないかも?)。
カーネルとシェルは、同じマシンの中で動くのが一般的だった。
だが、WebOS やターミナルサービス環境を考えたとき、カーネルはネットワークの向こうにあり、シェルだけがこちらにある(シェルだけが OS と呼ばれる)という状況が生まれつつあるのではないかと思う。
そして、もはやシェルとはエクスプローラやコマンドプロンプトではなく、Office やブラウザになるのだろう。
もちろん、これからも、たとえコンピュータの機能自体が Office やブラウザに特化してしまったとしても、小規模ながらカーネルは残り、ローカル環境を操作するためのシェルは存在し続けるだろう。
だが、それはもはや、一般ユーザが使うためのものではなくなっていく。ユーザをサポートする一部の技術者のためのものになるだろう。
コンピュータは雲の向こうにあり、こちらには端末だけがある。
そうなったとき、「ユーザとコンピュータを仲介するもの」が OS と呼ばれるならば、それは、以前とはまったく違った意味で使われうる。
# どうもまとまりが悪い。駄文だな。