Microsoftが米Yahoo!に買収提案を持ちかけた話は、特にビジネス紙というわけでもない読売新聞でもトップニュースになっていました。
しかし、リンク先にも、
MicrosoftはYahoo!を買収することで、オンライン広告事業を推進させたい狙いがある。
とあるように、欲しいのは検索資産ではなく、オンライン広告事業だそうです。
昨今のSaaSブームにも煽られて、斯様に、オンライン広告というのは熱い商売になっています。
しかし、現在の民放TV放送がそうであるように、ネットでの動画配信や音楽配信も、「コンテンツ自体は基本無料、収入は広告で」というのが成り立つものなのでしょうか?
既にネットでストリーミング配信を行っているサイトの多くは、目的の番組の前にスキップできないCMを挿入しています。
一方で、動画のローカル保存は公式にはサポートしていませんし、ツールを使ってダウンロードしてもDRMがかかっています。
検索エンジンでは検索結果を長期保存することが想定されないため、エンドユーザーには常にリアルタイムで広告が配信されますが、コンテンツの場合は、一度取得されたら長期保存され得るという違いもあります。
ここで注目すべきは、ネットでは非常にホットなこのビジネスモデルを、TVではその初期から採用しており、そして、コンテンツの録画、長期保存を前提としたプロテクトだとか補償金だとかの議論がされている昨今、既に「CMを見てもらうために番組を見てもらう」という形態は崩壊しつつあるということです(一部trapemiyaさんの受け売り)。
音楽業界では既に、機器やメディアに課金される補償金の徴収形態や、その分配の不透明さが大きな問題となっています。
TVではアニメ枠が大きく減りましたが、深夜枠ではスポンサーに名を連ねているのは主題歌を出しているレコード会社とかDVDを発売する会社ばかり。
既に製作資金はそうしたグッズの売り上げで回収することが前提になっています。
ホームメディアサーバが次第に現実味を帯びています。一般家庭に普及する日は、そう遠くないことでしょう。
そうなれば、お気に入りの番組を、家族間、友人間で共有したいという欲求はごく自然に生まれます(現行の著作権法では、家族間共有はOK、友人間共有はグレーです)。
放送法が、コンテンツの配信媒体による縦割りの規定ではなく、事業者のサービス内容による横割りの規定に改められようとしています。
もはやTVとネットを分けて考えることはできません。
コンテンツ自体は長期的に保存されることを前提としつつ(ということは、将来的にサポートされなくなる可能性のあるコピープロテクトの採用の抑止力となります)、ユーザーの利便性とともに、権利者の正当な利益を最大限に保護するには、どういった収益形態を取るのが望ましいのでしょうか?