はい。また大それたお題で始めてみました。
「数学って何だ?」
字面を見れば、「数を扱う学問」でしょうか。
しかし、今や「数学は数を扱う学問である」ではなく「数学はかつて、数を扱う学問であった」と過去形で語られなければなりません。
今は数を扱う学問ではないのです。
じゃあ何さ?
答えは「関係を扱う学問」ではないでしょうか。
さて、ここで、ちょっと昔に戻ってみましょう。
数学はもはや、数を扱う学問ではない。じゃあ、昔は数を扱う学問だったのか? 本当に?
いいえ、そうではありません。実は数学は昔から、関係を扱う学問だったのです。
「数を扱う学問」で扱うお題には、どんなものがあるでしょうか? 想像してみましょう。
例えば「3という数の性質を調べる」という課題があったとしましょう。
この課題が、「3」という数字をいくら眺めていても解けないことはわかるでしょう。
3の性質というと、「3は1と2の和である」「1の3倍である」「1/3の逆数である」というようなものがあるわけですが、これらはいずれも、3と、1とか2とか1/3といった数の関係を書き表したものです。
先日、命名におけるマッハの原理という日記の中で、「モノの性質は、そのモノと他のモノとの関係を論じて初めて意味を持つ」ということを言いました。
今、まさにこれが成り立っていますね。
「3という数の性質は、1や2や1/3との関係を論じて初めて見えてくる」のです。
つまり、昔の数学は、「数と数の関係を扱う学問」だったと言えましょう。
では、現代数学ではそうではなくて何なのか。
これはおそらく、数に限らず「様々なモノとモノとの関係を扱う学問」になったのではないかと思います。
数は、かつては唯一の扱う対象でしたが、今はいくつもある研究対象の1つに過ぎないのです。
また例を挙げて説明しましょう。
例えば、「2+3=5」というのは、非常に見慣れた単純な数式ですよね。
では「母親+父親=子供」とか「赤+青=紫」という式はどうでしょうか?
+という記号が、前者の場合はセックスを、後者の場合は色の混合を指していると言えるでしょう。まるで演算子のオーバーロードですね。
現代数学は、このように「数を扱う学問として培った事を基礎に、数学用語や数学記号の意味を、その場に応じて都合のいいように解釈してよい」という自由度に、大きな強みがあると言えるでしょう。
これによって、数学は、物理学や天文学といった、比較的「科学らしい科学」ばかりでなく、経済学、人類学、言語学などといった、「数理」という言葉とは縁がなさそうな分野まで扱うことを可能としたのです。
これは「抽象化」の代表例です。+記号の意味を抽象することによって、さまざまな意味を持たせることができるようになったのです。
抽象化はオブジェクト指向の最大の要点であると思っています。当然、オブジェクト指向も数学で扱うことができるはずなのです。
しかし、そこには、おそらく数式はあまり出てこないでしょう。
こういった「抽象数学」と「プログラミング」を交えて考えることが、俺の当面の課題になっています。