某コミュニティの投稿より。
「定時退社日を運用していますか?」という質問があった。その中にあった投稿。
10 人のチームに対して強制施行したところで、普段の残業が 3 ~ 4 時間と仮定して(三六協定で 75h/月が MAX なので)、週に一回の施行 * 4 週とすると、150 ~ 160 時間程度のロスになります。
ん。。。ロスなのか?
まず、loss を調べる。「失うこと」「損失」「損害」「浪費」という意味がある。ということは、残業をしないことは、月に150時間程度の{時間の損失|時間の浪費|時間に換算された損害}ということ。
なの?
以降の話では、請負開発のケースのみ、想定します。技術者の派遣では、派遣元と派遣先で考え方が異なります。パッケージ開発は、携わったことがないのでわかりません。また、官公庁相手と民間企業相手では異なるかもしれません。私は官公庁しか知りません。
官公庁の物件を請け負う場合、まず、入札が行われます。従って、「もらえるお金」が決まっています。このお金を、開発が終了するまでいくらかでも残さないと、赤字になります。
入札をするためには、その前に企業は「どれくらいかかるか」の見積もりを行います。この見積もりに対して、営業的な判断でプライスマイナスがなされ、最終的な額が決まります。
最終的な額が決まり、受注できると、そこから営業の取り分を引いて、開発にお金が回ってきます。
さて、「開発」という作業には、様々なお金が発生する要因があります。まず、開発を行う人の、人件費です。この人件費は、給与だけではありません。年金や保険の企業負担分も入ります。また、開発には電気を使います。自社ビルでなければ、賃料も発生します。開発には携わらないけれども、開発者を管理している幹部クラスの人の給与も、やはりここから出ていきます。
そういう余分は、この際考えないことにします。
開発に、1千万というお金が、5ヶ月の期限で回ってきましたとします。開発者1人が1ヶ月、21日×8時間働いたときに、70万の費用がかかるとします。1千万÷70万=14.28です。5ヶ月で14人の開発者を使用することができます。最初の3ヶ月を2人、残りの2ヶ月を4人投入すると、14人です。じゃぁ、投入しちゃいましょう。
さて。このプロジェクト、1人1ヶ月平均20時間の残業をしました。このプロジェクト、黒字ですか?それとも赤字ですか?
最初の3ヶ月で120時間、続く2ヶ月で160時間、合計で280時間の残業が発生しています。この280時間の残業代が0.28万円以下であれば、プロジェクトは黒字です。残業時間の単価が、2800円÷280時間=10円。。。そんなわけないですよね。つまり、赤字です。
最初に戻って。
これでも「定時退社日」、つまり「残業しないこと」は、ロスといえるでしょうか。
確かに、開発者のみの視点で「使える時間」を見た場合、使える時間が減ります。これは、「ロス」と考えることができます。
しかし、今見てきたように、使えるお金が決まっている場合は、残業をすることが利益を減らすこと、つまり「無駄遣い」になります。我々サラリーマンは、「売り上げ」から「経費」を引いた、「利益」によって給与を得ています。売り上げより経費が上回れば、利益はなく、損益が出ます。サラリーマンの場合、それでもボーナスが出るのは、経費の中にボーナス積立金が含まれているからです(あるいは、他の利益を分けて貰っている)。
そういう、経営的な目も持って、残業を考えていただきたいと思います。
そんなわけで、某住宅メーカーの「残業代稼がないといけないでしょ?」って CM が嫌いだ。←今日のメイン
投稿日時 : 2008年10月15日 21:36